「中電値上げ 身を削る覚悟どこに」信毎社説より

中電値上げ 身を削る覚悟どこに 〜 09月19日(木)信濃毎日新聞Webより

 

 中部電力が来年4月をめどに家庭向け電気料金の本格値上げに踏み切る意向を明らかにした。

 

 燃料価格の変動を自動的に料金に反映させる仕組みとは別に、抜本的な値上げをするのはオイルショック後の1980年以来である。

 

 近く国に認可を申請する。認可の要らない企業向けも、同じ時期に値上げする方針だ。

 

 

 地域経済に及ぼす影響は大きい。消費税増税と合わせダブルパンチになる。家計の財布のひもはいっそう固くなるだろう。

 企業経営も足を引っ張られる。中部電管内には自動車をはじめ多くの製造業が立地する。空洞化につながらないか、景気に冷や水をかけないか、心配だ。

 

 中部電は原発への依存度が低く、経営悪化のペースは遅いとみられていた。ところが、この4~6月期は、他の電力会社への応援融通が減ったことなどから収益が減少する一方で、円安による燃料費の上昇などから赤字が膨らんだ。通期でも3年連続の赤字になる見通しという。

 

 標準家庭の電気料金は、現行の体系で最高の7568円になっている。燃料費の変動を料金に反映できる上限に達し、これ以上は上げられない状況だ。

 

 これまでに東京、関西、東北など6社が本格値上げを行い、家庭向けで6~10%程度、企業向けで11~17%程度引き上げた。

 

 中部電は値上げの理解を得るため従業員の給与カット、役員報酬の減額、株主への配当見送りなど、経営の効率化策を予定する。

 

 国の審査では各社とも申請通りには認められず、中部電もコスト削減策の上積みを求められる可能性がある。

 

 もともと地域独占の電力会社には、ぬるま湯につかっているイメージが強い。常に厳しいコスト削減を迫られている企業にすれば、中部電が徹底して身を削らなければ、値上げに納得できないだろう。中部電は経営効率化に手を尽くし、利用者に向けて丁寧に説明する責任がある。

 

 電力各社からは値上げの理由として「原発停止」が強調される。経営危機を訴え、早期稼働につなげたいという思惑ものぞく。原発への巨額の設備投資に加え、安全対策の追加投資で、引くに引けない状況にあるのだろうが、安全性の確保が最優先だ。

 

 

 放射性廃棄物を処理する見通しもなく、原発コストは増えるばかり。早く「脱原発」を経営の基本に据えた方が得策ではないか。